2022/09/15
- お知らせ
「第29回日本排尿機能学会」で AIを活用したハンナ病変の膀胱鏡診断に関する共同研究の成果発表が 学会賞(臨床研究)を受賞
2022年9月1日(木)〜9月3日(土)に開催された「第29回日本排尿機能学会」にて、泌尿器科 上田クリニック 院長 上田 朋宏 医師と共同研究を進めてきた、人工知能(AI)を活用した間質性膀胱炎におけるハンナ病変の膀胱鏡診断に関する学術成果発表が、学会賞発表部門(臨床研究)において最優秀を受賞いたしました。
この度の受賞を励みに、医療分野の発展に寄与出来る様、引き続き研究開発に邁進してまいります。
【学会基本情報】
第29回日本排尿機能学会
公式HP:https://site.convention.co.jp/29jcs/
会期:2022年9月1日(木)~9月3日(土)
会場:京王プラザホテル札幌(北海道札幌市中央区)
会長:舛森 直哉 札幌医科大学医学部泌尿器科学講座 教授
【受賞発表】
演題:人工知能(AI)による機械学習アルゴリズムを用いた間質性膀胱炎におけるハンナ病変の膀胱鏡診断をめざして
演者:上田 朋宏 泌尿器科 上田クリニック 院長
学術賞候補演題プログラム:https://site.convention.co.jp/29jcs/wp/wp-content/uploads/2022/08/29jcs-program02.pdf
(以下、予稿より抜粋)
【目的】近年、ハンナ病変を有する間質性膀胱炎(IC/BPS)患者は、その膀胱粘膜下の重度炎症所見、微細血管集簇、粘膜剥離などの特徴的な所見から、非ハンナ型BPSとは大きく異なる病態としてとらえられている。しかし、ハンナ病変の検出率は施設によって大きく異なることから、施設間での偏りをなくし、より的確な診断手段を確立することが治療方針の決定にも重要である。そこで、IC/BPSのハンナ病変の診断向上を目的として、AIによる機械的学習をアルゴリズム用いた、膀胱鏡画像のハンナ病変の検出法;AINAFHIC (AI Navi For Hunner and IC)の確立を目指して研究を行った。
【対象と方法】2016-2020年に当科(泌尿器科 上田クリニック)を受診し局所麻酔下軟性膀胱鏡検査で間質性膀胱炎と診断した患者1772名中103名の高画質ビデオ画像(白色光: 2238枚; NBI [狭帯域光観察]: 3992枚)を 後ろ向きに検討した。ハンナ病変を効果的に検出および認識するために、血管新生を伴う非ハンナ病変、正常膀胱ならびに気泡の注釈画像に対して、AIによる機械学習アルゴリズムである“Cascade mask R-convolutional neural network (CNN)”を用いて検出モデルを構築した。また、ハンナ病変の診断には白色光下膀胱鏡に加えて、NBIによる膀胱粘膜の微細血管新生像の観察を併用した。
【結果】Cascade mask R-CNNのネットワーク検出モデルでのハンナ病変の注釈画像とAIによる予測画像の一致率はWLIビデオ膀胱画像で90%、NBIビデオ画像で67%で、日常診療に用いられる白色光下膀胱鏡での高率の検出率が見いだされた。
【結語】AIによる機械学習アルゴリズムを用いて、間質性膀胱炎患者の膀胱鏡高画質ビデオ画像からハンナ病変を含む膀胱粘膜病変を的確に検出することが可能となった。新規AINAFHIC 検出システムはIC/BPS患者のハンナ病変の診断に有用で、今後間質性膀胱炎診断・治療に欠かせないシステムとなることが期待される。
【エルピクセル株式会社について】
エルピクセル株式会社は、ライフサイエンス領域の画像解析に強みを持ち、医療・製薬・農業分野において画像解析技術、とりわけ人工知能技術を応用することで、高精度のソフトウエアを開発してまいりました。医師の診断を支援するAI画像診断支援技術「EIRL(エイル)」、創薬に特化した画像解析AI「IMACEL(イマセル)」を軸に事業を展開しています。
【本件に関するお問い合わせ】
エルピクセル株式会社 広報担当
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