2023年11月11日(土)〜15日（水）にワシントンDCで開催された国際学会「SOCIETY for NEUROSCIENCE’s Neuroscience 2023」において、第一三共株式会社（以下、第一三共）と進めてきた共同研究「Vascular Network Analysis across the Whole Mouse Brain via Light-sheet Microscopy and AI Based Image Analysis」についてポスターセッションにて発表しましたのでお知らせします。本結果は第一三共と当社が2022年より取り組んできた包括提携による成果の一つです。

【学会基本情報】
「SOCIETY for NEUROSCIENCE’s Neuroscience 2023」
公式HP：https://www.sfn.org/meetings/neuroscience-2023
会期：2023年11月11日（土）～15日（水）
会場：Walter E. Washington Convention Center in Washington, D.C.

【ポスター発表情報】
演題：Vascular Network Analysis across the Whole Mouse Brain via Light-sheet Microscopy and AI-Based Image Analysis
発表者：Keiichiro Minatohara1, Ko Sugawara2, Masataka Oitate1
（1 Drug Metabolism and Pharmacokinetics Laboratories, Daiichi Sankyo Co., Ltd. 2 LPIXEL Inc.）
概要：ライトシート顕微鏡を用いたイメージング技術はマウス脳全体の可視化や、脳内標的物質の三次元分布観察を可能とし、細胞分解能での脳内の薬物分布解析において有用な手法と考えられています。しかし、ライトシート顕微鏡で撮像された三次元脳イメージング画像はデータ量が多く、蛍光強度が不均一であるため、画像データ解析技術に課題がありました。今回の取組みでは、機械学習による血管抽出手法を三次元ライトシート顕微鏡画像に適用し、マウス脳全体において蛍光標識された血管構造を解析する手法を確立しました。また上記画像から脳領域を自動でセグメント化し、領域毎に血管の特徴を解析する手法を確立しました。さらに血管と核の距離など、血管周囲の環境を三次元的に解析する手法にも取り組んでいます。

（図左） マウス全脳を用いた三次元血管セグメンテーション結果の可視化1
（図中央） 脳領域の自動セグメント化結果2
（図右） 選択した脳領域において血管と核の距離解析を行った結果
1. Bumgarner JR, and Nelson RJ. (2022). Open-source analysis and visualization of segmented vasculature datasets with VesselVio. Cell Rep Methods 2, 100189. doi: 10.1016/j.crmeth.2022.100189 を解析に利用
2. Wang X et al. (2021). Bi-channel image registration and deep-learning segmentation (BIRDS) for efficient, versatile 3D mapping of mouse brain. Elife Jan 18;10:e63455. doi: 10.7554/eLife.63455 を解析に利用

【第一三共と当社の包括提携について】
当社は第一三共に対し、研究領域のみならず、開発・製造を含むAI画像解析技術の活用が期待される全てのバリューチェーンを対象として、2022年より包括的に技術支援を行っています。これにより、第一三共社内での潜在的なDXニーズを顕在化させ、新規モダリティの活用による革新的医薬品の創出に向けた様々な業務プロセスの変革と加速化を支援しています。

【エルピクセル株式会社について】
エルピクセル株式会社は、ライフサイエンス領域の画像解析に強みを持ち、医療・製薬・農業分野において画像解析技術、とりわけ人工知能技術を応用することで、高精度のソフトウエアを開発してまいりました。医師の診断を支援するAI画像診断支援技術「EIRL(エイル)」、創薬に特化した画像解析AI「IMACEL(イマセル)」を軸に事業を展開しています。

【お知らせに関するお問い合わせ】
エルピクセル株式会社 広報担当
TEL：03-6259-1713 Email：pr@lpixel.net